【フラット35】2026年6月の金利発表
2026/06/01|住宅ローン
【フラット35】ついに3%台へ――ビッグウェーブどころではなかった
2026年6月の【フラット35】金利が発表されました。
先月のコラムでは「ビッグウェーブが到来」と表現し、5月の金利上昇幅0.32%は近年では異例ともいえる大幅上昇だとお伝えしました…しかし、今月2026年6月は融資率(9割以下)返済期間21~35年の【フラット35】の金利が、それをさらに大きく上回る0.50ポイントの上昇となり3.21%となりました。
もはや「ビッグウェーブ」どころではありません。
そのほかの金利は以下の通りです。※( )内は前月からの上下幅
【フラット35】返済期間21~35年
・融資率9割以下 3.21%(+0.50ポイント)
・融資率9割超 3.32%(+0.50ポイント)
【フラット20】返済期間20年以下
・融資率9割以下 2.89%(+0.50ポイント)
・融資率9割超 3.00%(+0.50ポイント)
【フラット50】返済期間36~50年
・融資率9割以下 3.38%(+0.55ポイント)
・融資率9割超 3.49%(+0.51ポイント)
わずか2か月で0.82ポイントも上昇
あらためて直近の推移を見てみましょう。
2026年4月 2.39%
2026年5月 2.71%
2026年6月 3.21%
なんと、わずか2か月で0.82ポイントの上昇です。
1%台から2%台へ移行するまでにはある程度の時間を要しました。そのため、2%台から3%台への移行も同様に時間がかかると考えていた方は少なくないと思います。私も「多少は住宅金融支援機構が3%を超える金利に躊躇するのでは」と淡い期待を抱いておりました…
しかし、実際には違いました。
市場は一気に3%台へ押し上げてきたのです。住宅ローン市場においても、「金利のある世界」が想像以上のスピードで進行している印象を受けます。
大手5行も固定金利を利上げし、6月は平均3.5%超に
2026年5月29日の日経新聞(電子版)は以下のように伝えています。
三菱UFJ銀行など大手銀行5行は29日、6月に10年固定型の住宅ローン金利を引き上げると発表した。最優遇金利は平均で前月比0.27%高い3.556%となる。上昇は11カ月連続。固定型の主な基準となる10年物国債利回り(長期金利)の上昇を踏まえた。
5行の平均金利は直近1年間で1.6%ほど上昇した。中東有事の長期化や原油価格の高騰に伴うインフレ警戒の強まりで、長期金利の上昇が続いていることを反映した。
三菱UFJ銀行は6月分の10年固定金利を前月比0.12%高い3.27%にする。三井住友銀行は0.25%高い3.5%に、みずほ銀行は0.3%高い3.25%に改める。三井住友信託銀行は0.37%高い4.015%に、りそな銀行は0.31%高い3.745%にする。
三井住友信託銀行は早くも4%台に突入です…。
なぜここまで急上昇したのか
今回の上昇を理解するためには、まず長期金利の動きを見る必要があります。【フラット35】は住宅金融支援機構が発行する機構債(MBS)によって資金調達を行っているため、長期金利の動向が大きく影響します。そして現在、その長期金利市場で大きな変化が起きています。
2026年5月20日の日経新聞(電子版)は、長期金利の大幅上昇を報じていました。
債券寄り付き 長期金利、2.800%に上昇 世界的な債券安で
20日朝方の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格が下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.010%高い2.800%をつけた。原油高を通したインフレ懸念が依然として強い。19日は世界的に金利が上昇し、20日の国内債にも売りが先行した。原油価格の高止まりも国内債の売りを促している。
19日のニューヨーク市場で米長期金利の指標である新発10年債利回りは前日比0.08%高い4.66%で終えた。19日はドイツや英国の長期金利も上昇した。国内では日銀の政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」への思惑が強まっている。さらに、政府が2026年度の補正予算案の編成を検討しているとの観測もあり、国内金利には上昇圧力がかかった。
超長期債にも売りが優勢となっている。新発20年物国債の利回りは前日比0.005%高い3.780%で取引されている。新発30年物国債の利回りは同0.005%高い4.155%をつけた。
つまり現在起きているのは、単なる住宅ローン金利上昇ではありません。日本全体の金利環境そのものが大きく変化しているのです。
債券価格が下がると金利は上がる
ニュースでは「国債が売られた」「債券価格が下落した」という表現が頻繁に登場します。しかし一般生活者にとっては分かりにくい話かもしれません。
債券市場では
債券価格が下がる
↓
利回りが上がる
↓
長期金利が上がる
という関係があります。つまり「国債価格が下落した」というニュースは「長期金利が上昇した」という意味でもあるのです。そして長期金利が上昇すると、その影響は【フラット35】にも及びます。

長期金利上昇の背景① 日銀の金融政策正常化
2024年の日銀によるマイナス金利解除以降、市場は追加利上げを織り込み続けています。市場参加者は「次の利上げはいつか」「最終的に政策金利はどこまで上がるのか」を常に意識しています。
将来の短期金利上昇が予想されると、長期金利にも上昇圧力がかかります。現在の長期金利上昇の背景には、日銀の金融政策正常化があります。
長期金利上昇の背景② インフレの定着
総務省の消費者物価指数は依然として高い水準で推移しています。賃上げも継続しています。市場では「物価上昇は一時的ではない」という見方が強まりつつあります。
インフレが続けば、将来のお金の価値は低下します。そのため投資家は、より高い金利を求めるようになり、これも長期金利上昇要因です。
長期金利上昇の背景③ 国債需給の悪化
最近特に大きなテーマとなっているのが国債需給です。日本銀行は2024年7月31日に「金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について」を発表しており、長期国債買入れの減額について、月間の長期国債の買入れ予定額を、原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額し、2026年1~から3月に3兆円程度とする計画を金融政策決定会合で全員一致で決定しています
これまで日本国債市場は、日銀が大量購入することで支えられてきましたが、現在はその支えが徐々に外れています。すると市場では
「買い手が減る」
↓
「債券価格が下がる」
↓
「利回りが上がる」
という動きになり、超長期国債では大幅な価格下落(=金利上昇)が発生しています。
長期金利上昇の背景④ 財政悪化懸念
Reuters(ロイター)「追加経済対策による国債増発懸念から長期金利が上昇した」と報じています(Reuters 2026年5月25日)。
市場は「今後さらに国債発行が増えるのではないか」と警戒しており、国債供給が増えれば価格は下落し、利回りは上昇します。
これも長期金利上昇要因です。
長期金利上昇の背景⑤ 中東情勢と原油高
日本銀行も2026年4月の「経済・物価情勢の展望」において、原油価格上昇による物価への影響を指摘しています(日本銀行「経済・物価情勢の展望」2026年4月)。
原油価格が上昇すると、ガソリン代や電気料金、物流費、製造コストなどが上昇します。すると市場は、
インフレが続く
↓
日銀は利上げを継続する
↓
長期金利が上昇する
と考えます。中東情勢も無関係ではありません。
(重要)本当に注目すべきは「逆ザヤ解消」
しかし今回の【フラット35】金利上昇は、長期金利上昇だけでは説明できません。ここ数か月のコラムでも繰り返しお伝えしてきましたが、現在起きているのは住宅金融支援機構の「逆ザヤ解消」です。

今回の機構債表面利率は3.38%です。一方で【フラット35】は3.21%です。
住宅ローンは、【調達コスト+事務コスト+保証コスト+信用コスト+利益】によって成り立っています。そのため、本来であれば、【機構債表面利率+一定の上乗せ】があっても不思議ではありません。
それにもかかわらず、機構債表面利率3.38%、【フラット35】3.21%という状態で、単純に考えれば不思議な数字です。もちろん表面利率だけで住宅ローン金利を語ることはできませんが、少なくとも「3%を超えたから高い」とは言えない状況です。
むしろ、【フラット35】は「3%を超えてもなお割安に見える」という見方もできるのです。

4%台も視野に入ってきた
将来の金利を断定することはできません。しかし市場環境を見る限り「3%が上限」と考えるのは危険です。私は以前から、機構債利回りとの関係を見ると【フラット35】が3%程度になるのは自然な流れだとお伝えしてきました。そして実際に3%を突破しました。
では次はどこでしょうか。景気や金融政策によって変わりますが、ただ現在の市場環境を見る限り、4%台が視野に入る展開も十分あり得る段階へ入ったと感じています。
現在変動金利で借りている方の固定金利への借り換え
変動金利は借りた後も金利の上昇がどこで止まるかわかりませんが、固定金利は借りた時点で金利の動きが止まります。つまり金利上昇局面では少しでも早く金利を確定させる必要があります。
さらに【フラット35】の金利引き下げである「子育てプラス」が2026年3月16日の融資実行分から期間限定で使えるため、お子様が1人の場合は当初5年間は0.25%、お子様が3人の場合は0.75%金利が下がります。いまが借り換えのラストチャンスであることは間違いありません。
【フラット35】は手続きに慣れていない住宅営業担当者に任せてしまうと面倒なことにもなりかねませんし、個人がひとりで進めるには知識も経験も時間もなく大変です。ぜひ住宅ローン【フラット35】のお手続きはエフアンドエス・エキスパートにお任せください。

住宅ローンの選択は「いま」だけでなく「未来」も見て決めよう
「そんなにすぐに変動金利は上がらない」「金利が上がってもたいしたことはない」「金利が上がっても放っておけばいい」とSNSやYoutubeで無責任な発言をしていた人も、いまはすっかりおとなしくなってしまったり、手のひらを返したように「注意しましょう」みたいになっている人もいますし、中にはブログなども削除してしまったり、アカウントに鍵をかけてしまった人もいます。
金融機関や不動産業界と関係のある立場の方々が情報発信を行うケースも少なくありません。広告スポンサー、セミナー依頼元、出版やメディアとの関係性など、発言の背景にはそれぞれの立場があります。住宅ローンを比較するサイトを運営する場合、広告主は銀行であるケースが一般的ですから、銀行に配慮する発言が出やすくなるのは当然の結果で、利害関係があると、発言は無意識のうちに影響を受けやすくなります。これは善悪の問題ではなく、人間の構造的な特徴です。
「変動金利一択」などと発言していた人が「固定金利もうまく利用したほうが良い」的な手のひら返しの発言をしたり、Youtube動画で謝罪したりしているネット界隈ですが、未来のことは誰にもわかりませんし、家計の状況や借入金額などによっては慎重な判断が必要な場合もあります。
エフアンドエス・エキスパートは、正しい情報提供によりお客様と一緒に考えるスタンスでご相談に応じています。
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