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ふるさと納税 2022年はどうなった?

ふるさと納税 2022年はどうなった?

「ふるさと納税」してますか?

ふるさと納税とは、自分の「ふるさと」(←自分がふるさとだと思えばどこの市区町村でもOK)に寄付をすると、ある一定金額までは寄付金から2,000円を差し引いた額が、支払った所得税から還付されたり、これから支払う住民税が減額されたりする制度です。しかし、これだけでは寄附など面倒なことをする人が少ないのでは?ということで、寄付を受けた自治体から「寄付してくれてありがとう!御礼の品物を送るから、リストの中から好きなものを選んでいいよ~!」と寄付金に応じてその地方の特産品(肉や海産物、乳製品など)や、その地域で作られる製品やサービスなどがもらえます。

ふるさと納税は寄附というよりネットショッピングに近い

例えば、10万円のふるさと納税をすると、2,000円を差し引いた9.8万円は所得税や住民税が安くなりますから実質負担は2,000円。にもかかわらず寄付先の自治体から自分が選んだ美味しい肉や魚介類などが3万円分くらい「御礼の品」として送られてくる仕組みです。つまり「とってもお得」だから「ふるさと納税」しましょうという世の中の流れなのです。

そうなってくると、御礼の品が魅力的だから○○市に寄付するという人が増えるのは必然です。自分の「ふるさと」であるかどうかはさて置き、欲しい御礼の品を探して、その御礼の品を提供している自治体に寄付をするという…寄付というよりは年間2,000円で楽しめるネットショッピングになっているのが実態です。

ふるさと納税の闇!?

では、税金の流れはどうなるのかというと、ふるさと納税した人の所得税は国が還付しますが、住民税は本来支払うはずの住所地ではなく、ふるさと納税をした先(寄付先の自治体)に収めることになります。つまり私が鹿児島市にふるさと納税を10万円すると、住所地である田方郡函南町に収めるはずだった住民税の内、一定金額が鹿児島市に支払われることになり、鹿児島市は増収、田方郡函南町は減収となるのです。

となると、ふるさと納税で寄付を集めやすい自治体とはどういうところでしょうか?実際のところ肉や魚介類に人気が集まりやすい傾向があり、令和3年でもふるさと納税を受けた金額の多い自治体(第1位~第4位)は魚介類と肉類が主な御礼の品です。

総務省:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和4年度実施)より抜粋

言い換えると御礼の品に魅力的なものを揃えられない自治体はただ単に住民税が減収になり、これが実は大きな問題になりつつあります。

2022年12月26日の日本経済新聞によると、総務省がまとめた2021年度のふるさと納税寄付実績に控除額と返礼品などの経費、地方交付税による補塡を加味して、市区町村の最終的な収支を試算た結果、川崎市は9億円の寄付に対し、他自治体への寄付による減収は102.9億円となり、流出超過額は95.4億円にもなるという。また東京都の23区は全区が流出超過となり、世田谷区は83億円が流出超過となり税収の6%強に当たる水準に達したと報じています。

今後の課題は納税者のモラルか?自治体のモラルか?

納税者がふるさと納税をすれば住所地への納税額が減りますから、川崎市などは95億円分の住民サービスの低下はやむを得ないことになります。テレビや新聞でも政治家の無駄遣いなどで数千万円の使途不明金の追及など報じられることがありますが、もちろん良くないことの追及は必要でありながらも、納税者が美味しい肉や魚介類を食べるために縁もゆかりもない自治体にした寄附で失われた95億円を何とかするほうが効果的だともいえます。

また、自治体としても過度な「御礼の品」でふるさと納税を煽る行為は慎むべきです。一時期は自治体や地域の特産品ではない品物や商品券などでふるさと納税額を荒稼ぎ(?)した自治体もあり話題になりました。現在は御礼の品は寄付金額の3割程度までにするよう指導がなされていますが、肉や魚介類などは値付けも難しく、実質的に5割を超えるような御礼の品もあるようです。

さて、2022年ももうすぐ終わりますが、今年のふるさと納税はどうなったのでしょうか?2023年の夏頃には総務省から集計が出ると思いますので結果を楽しみに待ちましょう。

ちなみに我が家は息子が鹿児島市に住んでいるので鹿児島市や周辺の自治体、以前に旅先や講演先でお世話になった方の住む町や周辺の自治体へふるさと納税をしています。

「楽しみ」と「地域貢献」、うまくバランスをと取るのは難しいですが、納税者として考える良いきっかけになれば幸いです。

株式会社エフアンドエス・エキスパート 市川貴博

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