【GX志向型住宅】の背景とメリットや注意点
2024/12/31|住宅購入
~ 諸外国に配慮した政策を逆手に取り快適な住まいを手に入れる ~
2019年までに121の国や地域(世界GDPの約26%)が期限付きカーボンニュートラル目標を表明していましたが、2023年5月には158の国や地域に広がり、そのGDP総計は世界全体の約94%を占めるほどに急増しています。世界のあらゆる産業が脱炭素社会に向けた大競争時代に突入し、環境対応の成否が企業・国家の競争力に直結するようになった現代において、日本政府も2050年カーボンニュートラル実現を目指す必要があり、国家戦略として「グリーントランスフォーメーション(GX)」を掲げる中、住宅分野における省エネ化と脱炭素化が注目されています。
GX実行会議と背景
2022年(令和4)年7月27日、内閣総理大臣(岸田元首相)を議長とした第1回GX実行会議が開催されました。GX実行会議は、日本政府が掲げるビジョンを実現するための政策を検討する場ですが、日本が直面するエネルギーと環境の課題など、その背景や目的には国内外の要請や戦略的な意図が色濃く反映されています。
東日本大震災後、日本のエネルギー政策は揺れ動き、再生可能エネルギーの導入拡大が進む一方で化石燃料依存が続いており、諸外国からは国内外での環境政策の加速が求められるなど、パリ協定に基づく温室効果ガス削減目標達成のプレッシャーがありました。また、日本の脱炭素化政策には国際的な競争力を高める狙いもあります。GXは単なる国内政策ではなく、諸外国への配慮やアピールのための戦略としても機能しており、国際社会でのリーダーシップを目指す動きが議事録や関連資料にも明記されています。
GX実行会議の実態(会議の開始から住宅政策に結び付くまで)
2022年から定期的に開催されているGX実行会議の第1回会議(2022年7月27日)では、GXの基本方針が議論され、エネルギー転換、産業構造改革、生活のGXという3つの柱が提示されました。特にエネルギー政策の見直しが最重要課題とされ、再生可能エネルギーの導入促進や脱炭素技術開発への投資が強調されました。
しかし、住宅については一切の議事録がなく、出席者の中にも住宅に関する専門家はおらず、第2回から第5回のGX実行会議でも、GX実現の基盤形成と具体的な政策目標の明確化が進められるだけで、住宅については議論の対象外だったようです。
住宅分野が具体的に取り上げられたのは第6回会議(2023年6月27日)からです。省エネ性能の向上が主なテーマとなり、高断熱窓の普及や高効率給湯器の導入支援が議論され、これらが光熱費削減とCO₂排出削減の両立に寄与することが強調されました。第9回会議(2023年11月)では「くらしのGX」がテーマとなり、家庭レベルでのGX推進が議題に上がり、住宅の改修支援や再生可能エネルギーの利用拡大を通じ、国民生活の質の向上と環境負荷の軽減が議論されています。
GX志向型住宅の位置づけ
「GX志向型住宅」という名称は、2024年11月22日に閣議決定された住宅の省エネ化支援強化に関する予算案において、「ZEH基準を大きく上回る性能を持つ省エネ住宅」を指す言葉として初めて公式に使われました。
GX実行会議の議事録には「GX志向型住宅」という用語は見つからず、その明確な定義や具体的な性能基準に関する記述もありません。現在GX志向型住宅の基準とされている性能数値などは、経済産業省、国土交通省、環境省が合同で進める「脱炭素志向型住宅の導入支援事業(子育てグリーン住宅支援事業)」における補助金の対象となる住宅として定義されており、これを「GX志向型住宅」と呼んでいます。
GX志向型住宅のメリットや注意点
GX志向型住宅は多面的なメリットがあり、経済面として光熱費の削減や資産価値の向上、健康面では住環境の向上、環境配慮として続可能なライフスタイルの実現などが挙げられます。将来を見据えた住宅選びにとって非常に魅力的な選択肢です。
しかし、初期コストが高額になることや、既存住宅の改修における技術的な制約などに課題もあります。また、施工には先進的な技術が必要であることから、施工会社選びも大切なポイントです。特に初期コストが上がれば住宅ローンの借入金額なども増えるため、住宅ローン選びも慎重になる必要があります。
まとめ
日本政府がGX実行会議を通じて示す政策や戦略は、日本国内の脱炭素化だけでなく、国際的な影響力強化をも視野に入れたもので、GX志向型住宅はその象徴的な存在でもあります。結果としてGX志向型住宅とは日本政府の思惑を実現する手段でもあり、それに国民が付き合わされているような側面もあるようですが、実際には補助金の導入などもあり、非常に高性能な住宅を安く購入できるチャンスでもあります。
このチャンスにGX志向型住宅をご希望の方は、エフアンドエス・エキスパートにご相談ください。
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