地震火災の発生抑制対策に感震ブレーカー
2024/01/03|自然災害
2024年1月1日16時10分、石川県能登半島で最大震度7を記録する大地震が発生しました。直後に津波警報や大津波警報が発令されましたが、この震災でも各地で大規模火災が発生し、輪島市河井町などではおよそ200棟が全焼したとみられます。
地震火災
地震、噴火、津波を原因とした火災を「地震火災」と呼び、火災保険や火災補償の共済では補償されません。地震火災の場合は火災保障とは別に加入する、地震保険や地震保障の共済から補償されるようになっています。
「なんでもいいから補償されれば良い」と言われるかもしれませんが、火災保険や火災補償の共済は一般的に建物の再建価格まで契約(加入)できるのに対して、地震保険は火災保険契約の50%、地震の共済は火災補償額に対して一定の割合(JA共済は50%、こくみん共済 coopは30%まで等)までしか契約(加入)できません。つまり地震火災では建物再建価格の100%が補償されない仕組みなのです。
地震火災の原因は?
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災における出火件数は、総務省消防庁の集計では 285 件とされていますが、出火原因が不明なものを除くと最大原因は電気による火災であり全体の29.8%を占めています。また、2011年3月11日の東日本大震災では火災が164件ですが、津波が原因による火災を除くと電気火災の割合が67.8%とかなり高くなっているのがわかります。
「大規模地震時の電気火災抑制策の方向性について( 報 告 )平成30年3月 大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」から引用
近年の大規模地震時における出火の原因として電気が大きな割合を占めており、その具体な出火要因としては電熱器具や電気機器、電気配線などが考えられます。
近年販売されている電気ストーブなどは「転倒時電源遮断機能」が付いていますが、周囲の散乱物等によって機能せず、接触した可燃物に着火するケースもあります。また、転倒しない場合でも通電中の電気ストーブ等の周辺に可燃物が近接し火災が発生する場合もあります。
避難時にはブレーカーを落として!と言うが…
先日の能登半島地震においても、地震火災が発生したことを受け経済産業省が「避難時にはブレーカーを落として」とX(旧Twitter)にポストしていましたが、震度7の揺れが起こり津波警報が発令されれば、落ち着いた行動も冷静な判断もできません。また家具など転倒物の散乱によりブレーカに近づけないケースも十分に考えられます。
だったら「地震で勝手にブレーカーが落ちるようになればいいじゃないか」と思う方も多いと思いますが…既に商品化されていて、国も自治体も推奨しています。
しかし残念ながら認知度は低く、内閣府による「感震ブレーカーに関する意識と普及状況に関する調査 調査結果(首都直下地震緊急対策区域(地震時等に著しく危険な密集市街地))(令和元年9月)」(※1)によると、感震ブレーカーの存在を知っていた方は48%に留まり、設置している世帯は22%程度です。
感震ブレーカーとは
経済産業省の「感震ブレーカー普及啓発チラシ」には「感震ブレーカーは、地震発生時に設定値以上の揺れを感知したときに、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める器具であり、感震ブレーカーの設置は不在時やブレーカーを切って避難する余裕がない場合に電気火災を防止する有効な手段です」と記載されています。
実際には震度5強相当の揺れを感知すると設定された時間(即時、3分、5分)で分電盤のブレーカー落ちて電気が遮断されるものが一般的です。家庭用分電盤で有名な日東工業株式会社のホームページにはさまざまな感震ブレーカーが掲載されていますし、漏電ブレーカー一体型ではないコンパクトなものもあるので、設置に関してはご家庭の分電盤の空きスペースなどを確認してください。
設置の際に補助金などが利用できるか?
東京都では、木造住宅密集地域の木造住宅にお住まいの方のうち、希望する世帯に対しコンセントタイプの感震ブレーカーを無償配布しています(東京都出火防止対策促進事業 特設ホームページ)。
静岡県静岡市は
【補助対象】
(1)静岡市内に住宅を所有または居住し、当該住宅に感震ブレーカー等を設置しようとする個人
(2)静岡市内に住宅(ただし、戸建に限る)を新築し、当該住宅に感震ブレーカー等を設置しようとする個人
【補助額】
(1)の場合:補助対象経費の3分の2以内の千円未満を切り捨てた額(上限:2万5千円)
(2)の場合:1万円
となっています。
すべての自治体ではありませんし、補助対象となる製品も異なりますが、皆様もお住まいの市区町村の補助を探してみてください。
大規模な地震は日本全国どこでも起こる可能性がありますから、自分のためにも近隣住民のためにも設置を検討する必要がありそうです。
※1
母集団 首都直下地震緊急対策区域に指定されている市区町村であり、かつ、「地震時等に著しく危険な密集市街地」に居住する世帯
標本数 3,000世帯
抽出方法 調査対象市区町村に標本数を世帯数割合により配分後、各市区町村内の戸建住宅(住所より推定)で層化無作為抽出
調査方法 郵送調査
回収結果 有効回収数 1,325世帯
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