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【住宅ローン】繰り上げ返済の相談に行くと投資信託を勧められる!?

【住宅ローン】繰り上げ返済の相談に行くと投資信託を勧められる!?

ネット系銀行や【フラット35】で住宅ローンを借りた場合、繰り上げ返済の手続きなどすべてネット上の手続きで完結しますが、地方銀行や信用金庫では窓口に行って繰り上げ返済の手続きをしなければならない場合もあります。その時に窓口の担当者がすんなり繰り上げ返済の手続きに応じてくれないケースが散見されます。

※繰り上げ返済についてはコチラの動画をご覧ください

銀行は営利活動の企業である

銀行窓口で住宅ローンの繰り上げ返済をしようとした際に、担当者から繰り上げ返済ではなく投資信託の購入を勧められる場合があります。この背後には銀行のビジネスモデルが大きく関わっています。

以前お受けしたご相談事例ですが、その方はお金がある程度貯まったので、銀行に繰り上げ返済の手続きに行ったそうですが、銀行の担当者から次のように言われたそうです。

「いま住宅ローンの金利は超低金利ですから、たいして利息はつきません。このまま返済を続けて、貯まったお金は投資信託で増やしたらいかがでしょうか。住宅ローンの金利は1%に満たないですから、投資信託により1%以上で運用できればローンを繰り上げ返済するより得ですよ。」

その方は「なるほど」と思い、良い提案をしてもらったと銀行の担当者に感謝していました。では、貯まったお金は本当に繰り上げ返済するよりも、投資信託で運用したほうが良いのでしょうか?

銀行のビジネスモデルを考えてみよう

住宅ローンの繰り上げ返済は、ローン残高を早期に減らすことで返済期間を短縮し、支払う利息の総額を減少させることができます。これは借り手にとっては明らかに有利な選択肢の一つです。しかし、銀行側から見ると住宅ローンは安定した長期の収益源であり、繰り上げ返済によってその収益が減ってしまうため銀行の利益に影響を与えます。

一方で、投資信託の販売により銀行は手数料収入を得ることができます。顧客が「投資は怖い」などとリスク商品を嫌うようであれば、繰り上げ返済を予定した資金で「一時払いの終身保険」の契約を勧めるケースもあります。

銀行のビジネスモデルにおいては、繰り上げ返済を促進するよりも、顧客との長期的な関係を構築し様々な金融商品を通じて収益を上げることが重視される傾向にあります。これは、一時的な収益ではなく、顧客との持続可能な関係に基づく継続的なビジネスを追求する銀行の戦略にも繋がっています。

繰り上げ返済より投資信託のほうが得!?

ここで重要なのは、投資信託が住宅ローンの繰り上げ返済とは異なり、元本やリターンが保証されていないリスクを伴う投資商品であるという点です。銀行は「NISA制度やiDeCoの利用により運用益を非課税にすることもできます」と運用益に対する課税関係に目を向けるよう促しますが、そもそも投資信託はリスク商品ですから絶対に儲かる商品とは言えません。

しかし住宅ローンの繰り上げ返済は絶対儲かる手段なのです。

たとえば住宅ローンを金利1.84%(2024年3月の【フラット35】最低金利)、35年返済、元利均等返済で3,000万円を借りたとしましょう。1年経過した時のローン残高は2,938万円ほどです。この時点でおよそ100万円を繰り上げ返済すると、支払わなくて良くなる利息は約84万円です。それにより返済期間は1年7ヶ月短くなります。これは繰り上げ返済をした瞬間に確定する利益ですし、繰り上げ返済して利息が84万円儲かっても税金は1円たりとも取られません。

しかし、100万円で投資信託を買った場合、1年間で84万円の利益を出すならば、1年間で84%も値上がりする投資信託を買う必要があります。もちろん長い年月をかければ繰り上げ返済以上の効果を出すことは可能かもしれませんが、投資信託は元本保証ではありませんから、儲かることもあれば大きく損をすることもあります。また、もし1年で84万円の利益が出たとしてもNISAやiDeCoでなければ、その利益には20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)の税金が課されます。

銀行に住宅ローンの相談をするのはNG!?

本来、銀行が投資信託を勧める際は、顧客のリスク許容度、金融知識、将来の資金計画などを適切に考慮し、その顧客にとって最適なアドバイスを提供してほしいと願っています。これは銀行の販売する保険契約も同様です。しかし、銀行が営利活動の企業である以上、構造上それは不可能でしょう。銀行が顧客からの「相談」に応じるのであれば顧客の利益を最優先しなければなりませんが、そうすることにより銀行の利益が損なわれてしまいます。

それは誰しも同じことで、銀行に繰り上げ返済の相談に行く人も、日常の業務では会社の利益を最優先した活動により会社の売上・利益の拡大に貢献しているはずです。そしてその会社からお給料をもらい生活します。もし「会社の利益よりお客様の利益が最優先だ」などといって企業としての営利活動を妨げていては、お客様は守れても自分自身の生活を守ることはできません。

まとめ

必ずしも繰り上げ返済のほうが良くて投資信託の購入がNGではありませんが、銀行の提案に対して自分の財務状況、投資への理解、リスク許容度を総合的に考慮し、適切な決定を下すことが重要です。また、銀行の提案が自分の財務目標やライフプランに合致しているかどうかを検討する必要があります。

住宅ローンの繰り上げ返済と投資信託の購入は、それぞれ異なる利点とリスクを持っています。銀行の提案に応じる前に、これらの要因を慎重に検討し、自分に最も適した選択をすることが肝要です。この過程において、銀行だけでなく、エフアンドエス・エキスパートからの意見も参考にしてみてください。よりバランスの取れた判断が可能になります。

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