中古住宅+リフォームで【フラット35】が使いやすくなった!【フラット35】リノベとの違いは?
2026/09/02|住宅ローン
中古住宅を購入するときに、「壁紙や床をきれいにしてから住みたい」「古くなったキッチンや洗面台を交換したい」と考える方は少なくありません。ところが、これまでは中古住宅の購入費用を【フラット35】で借りても、こうしたリフォーム費用については別途資金を用意しなければならないケースがありました。
この仕組みが2026年9月1日から変わりました。
住宅金融支援機構は、2026年9月1日以降の資金実行分から、中古住宅の購入と併せて行う一定の簡易なリフォーム工事費用も【フラット35】でまとめて借りられるよう制度を改正しました。一見すると非常にわかりやすい改正ですが、ここで一つ疑問が生じます。【フラット35】には、以前から中古住宅の購入とリフォームを一体で借りられる【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)があります。
では、今回の制度改正と【フラット35】リノベは何が違うのでしょうか。そして、中古住宅を購入してリフォームする場合、どちらを選べばよいのでしょうか。今回は、この違いを詳しく整理します。
2026年9月から何が変わった?
今回の改正によって、中古住宅の購入と併せて行う次のような工事費用を、住宅購入費とまとめて【フラット35】で借りられるようになりました。たとえば、
壁紙の交換、フローリングの交換、キッチン・洗面台・照明などの設備交換・設置
といった工事です。住宅金融支援機構のチラシでは、中古住宅3,000万円+簡易リフォーム100万円=3,100万円をまとめて借り入れる例が示されています。ただし、対象になるのは何でもよいわけではありません。
重要なのは、
【フラット35】の適合証明の内容に影響を与えない簡易なリフォーム
であることです。
そのため、柱位置の変更、間取り変更、床面積の増減、断熱材の交換などは、今回の「簡易なリフォーム」には含まれません。つまり、今回の改正は大規模なリノベーションまで対象にした制度ではなく、中古住宅を購入した際に行う比較的小規模な内装・設備工事まで住宅ローンに含めやすくした改正と考えるとわかりやすいでしょう。
【フラット35】リノベとは何が違う?
ここが今回の記事で最も重要な部分です。【フラット35】リノベも、中古住宅の購入資金とリフォーム工事費を合わせて借りることができます。【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)の借入額は、100万円以上1億2,000万円以下で、中古住宅購入価額とリフォーム工事費の合計額以内です。
つまり、「リフォーム費用まで借りられるかどうか」だけでは、両者の違いはありません。最大の違いは、どのようなリフォームを行うのか、そして何を目的とする制度なのかです。

住宅金融支援機構は、【フラット35】リノベについて、中古住宅の購入と合わせて一定要件を満たすリフォームを実施することで、借入金利を一定期間引き下げる制度と説明しています。今回の簡易リフォーム対応とは、そもそもの制度目的が違います。
違い① 簡易な修繕か、住宅性能を高めるリフォームか
最もわかりやすい判断基準が工事内容です。たとえば、
「壁紙が古いから張り替えたい」
「キッチンを新しいものに交換したい」
「フローリングを張り替えたい」
という程度であれば、今回の簡易リフォーム対応が想定されています。一方、
「断熱性能を大きく改善したい」
「耐震性能を高めたい」
「バリアフリー性能を高めたい」
など、住宅そのものの性能を向上させる工事を行うのであれば、【フラット35】リノベを検討する余地が大きくなります。【フラット35】リノベでは、一定の性能向上リフォームを行い、さらに中古住宅の維持保全に関する要件を満たす必要があります。つまり、
きれいにする・設備を交換するのが今回の簡易リフォーム対応の中心で、
住宅性能そのものを高めるのが【フラット35】リノベの中心です。
違い② 【フラット35】リノベには独自の金利引下げがある
次に大きいのが金利です。【フラット35】リノベには、
金利Aプラン:当初5年間 年▲1.0%
金利Bプラン:当初5年間 年▲0.5%
という独自の金利引下げがあります。一方、今回の簡易リフォーム費用を含めるだけでは、【フラット35】リノベによる金利引下げは適用されません。ただし、ここは非常に重要です。今回の簡易リフォーム対応を利用すると、金利引下げが一切使えないわけではありません。
中古住宅そのものや世帯の条件を満たせば、【フラット35】子育てプラス、【フラット35】S、【フラット35】中古プラス、【フラット35】維持保全型、【フラット35】地域連携型・地方移住支援型 などの金利引下げメニューを利用できます。住宅金融支援機構も今回の制度改正チラシの裏面で、これらの金利引下げメニューを案内しています。
したがって、「簡易リフォーム=金利優遇なし」という理解も正しくありません。ここは、簡易リフォームを行うこと自体ではリノベの金利引下げは受けられないものの、住宅性能や家族構成など別の条件を満たせば、他の金利引下げを利用できると理解してください。

違い③ 検査の回数と手続が違う
今回の簡易リフォーム対応には、実務上かなり大きなメリットがあります。適合証明検査はリフォーム工事前の1回だけです。リフォーム工事後の適合証明検査は必要ありません。
これに対して【フラット35】リノベでは、リフォーム工事前に住宅の状態を確認し、工事完了後には、【フラット35】および【フラット35】リノベ双方の技術基準を満たしているかを適合証明機関が確認します。工事完了後に基準を満たしていなければ、【フラット35】リノベの資金を受け取ることができません。これにより当然、手続や検査にかかる負担は【フラット35】リノベの方が大きくなります。
その代わり、一定の性能向上を実現した住宅について大きな金利引下げを受けられる、という仕組みです。
違い④ 資金を受け取るタイミングが大きく違う
借りる側から見ると、ここは見落とせない違いです。今回の簡易リフォーム対応では、中古住宅の売買 → 住宅の引渡し・【フラット35】の資金実行 → リフォーム工事 という流れになります。
そして、資金実行から2ヶ月後の月末までに、リフォーム工事費用の支払いを確認できる資料と、住宅への入居を確認できる書類を提出します。一方、【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)の資金実行は、原則としてリフォーム工事が完了した後です。そのため、中古住宅を購入する際の売買代金を先に支払わなければならない場合、つなぎ融資が必要になる可能性があります。
住宅金融支援機構も、その場合は取扱金融機関へ相談するよう案内していて、資金調達のシンプルさでは今回の簡易リフォーム対応の方が使いやすいと考えられます。
結局、どちらを選べばよい?

ここまで整理すると、選択の考え方はそれほど難しくありません。中古住宅を購入して、壁紙・床・キッチン・洗面台などを交換する程度なら、今回の簡易リフォーム対応【フラット35】がまず選択肢になります。
一方、断熱・耐震・省エネ・バリアフリーなど住宅性能そのものを高める工事まで行うなら、【フラット35】リノベを比較した方がよいでしょう。ただし、工事内容だけで決めるのも十分ではありません。【フラット35】リノベには独自の大きな金利引下げがありますが、検査や手続が増え、資金実行もリフォーム完成後になります。
一方、簡易リフォーム対応ではリノベ独自の金利引下げはありませんが、物件や家族構成などによって【フラット35】S、中古プラス、子育てプラスなどの金利引下げを組み合わせられる場合があります。そのため、工事費、金利引下げ額、検査費用、つなぎ融資の有無、手続の負担まで含めて比較する必要があります。「リノベなら金利が下がるから得」とも、「簡易リフォームの方が手続が簡単だから得」とも一概には言えません。
「借りられるようになった」だけでリフォーム予算を増やさない
そしてFPとして、もう一つ強調しておきたい点があります。今回の制度改正で、リフォーム費用を住宅ローンにまとめられるようになったことと、その金額まで借りても家計に問題がないことは別です。
中古住宅では、購入時のリフォームだけで終わらない可能性があります。購入後には、給湯器、外壁、屋根、水回り設備などの交換・修繕が必要になる可能性があります。そのため中古住宅を購入するときは、物件価格だけではなく、購入時のリフォーム費用と将来の修繕費まで含めて住宅取得予算を考える必要があります。
2026年9月の【フラット35】金利は、融資率9割以下・返済期間21~35年で3.46%です。金利が3%台半ばまで上昇している現在では、数百万円の借入額の違いも総返済額に大きく影響します。「借りられるから借りる」のではなく、その住宅を購入し、必要なリフォームを行ったあとも、教育費や老後資金を含めて無理なく生活できるかまで確認してから借入額を決めてください。
2026年9月の改正で中古住宅の選択肢は広がった
今回の制度改正によって、中古住宅購入時の【フラット35】は確実に使いやすくなりました。これまで別に用意する必要があった壁紙や床、キッチンなどの簡易なリフォーム費用まで住宅購入費とまとめて借りられるためです。
一方で、「中古住宅+リフォーム=今回の新制度」と単純に考えるのも適切ではありません。大規模な性能向上リフォームを予定しているのであれば、【フラット35】リノベの方が適している場合があります。
中古住宅を購入するときは、「いくらの中古住宅を買うか」だけではなく、「どのように直して住むのか」まで決めてから住宅ローンを選ぶという考え方が、これまで以上に重要になったといえるでしょう。
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