【iDeCo】徹底活用術「vol.3:(オマケ)公的年金の未支給年金」
2024/04/10|ライフプラン
以前、日経新聞にも記事がありましたが、現状65歳未満となっているiDeCoの掛金拠出が70歳未満引き上げられるようです。iDeCo加入年齢の引き上げは、岸田政権が資産所得倍増プランなどで明記していたもので、今回は掛け金の上限額と、受給開始年齢についても拡充を検討するようです。
iDeCoとは簡単に言えば公的年金で足りない部分を補う私的年金制度であり、税制優遇の対象となっているため使い方次第では大きなメリットを享受できます。
前回のコラムでは69歳まで働き、70~74歳の生活費をiDeCoで用意し、75歳からは84%増額された公的年金で生活するプランを紹介しましたが、今回のコラムでは公的年金を繰り下げしている(=年金額が増えるまでもらわずに我慢している)最中に本人が亡くなってしまった場合に、もらわなかった年金を取り戻す方法について解説します。
公的年金制度の未支給年金
現在の公的年金制度において年金が未支給になる問題があり、主に2つの原因により発生します。1つは「記録の不整合」で年金受給者の情報と年金機構の記録が一致しないために生じます。もう1つの原因は「請求の未実施」つまり請求し忘れです。このように本来は支給されるはずが何らかの原因で支給されていない年金を「未支給年金」といいます。
また、未支給年金は本人が死亡した場合にも発生する可能性があります。公的年金(国民年金、厚生年金)は年に6回、偶数月の15日に前月・前々月の2ヶ月分が支給される(年金は後払い)ため、亡くなった時よりも年金支給日が必ず後になるため、支給されなかった年金が発生してしまいます。
具体的な事例を挙げると、8月と9月分が10月に、10月と11月分が12月に支給されます。8月に亡くなった場合、8月の年金は10月に支給される予定でしたが、本人が亡くなっているため支給はされません。これが未支給年金となります。また9月に亡くなった場合は8月と9月の2ヶ月分が未支給年金となります。
これらの問題を解決するため、過去に支給されなかった年金を過去5年間に渡り遡って請求できる制度があります。
年金の繰り下げと未支給年金の発生
前回のコラムでも取り上げたとおり、公的年金制度では受給開始年齢を遅らせる(繰り下げる)ことで年金額が増額されます。最大で75歳まで延期できますが、その間に年金が支給されていないのですから、繰り下げの期間中に本人が死亡した場合、本来支給されるはずだった年金が未支給であったと解釈することができ、死亡した本人と生計を同じくする配偶者などがいる場合、未支給年金の請求が可能です。
未支給年金を受け取れる遺族は、本人と生計を同じくしていた(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族です。
この手続きには、亡くなった方の年金証書や死亡の事実を明らかにできる書類として住民票除票、亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)など必要な書類の提出が求められます。詳しくは日本年金機構のサイトをご覧ください。
この際の未支給年金とは、繰り下げによって増額された年金ではなく、繰り下げ前の本来の年金額となります。
まとめ
公的年金制度は非常によくできている制度です。年金制度をよく理解せずテレビや雑誌の偏向報道だけを鵜吞みにして「どうせ年金なんて…」という方もいますが、私は現時点においてとても良い制度だと思っています。
公的年金制度とiDeCoとの組み合わせで、さまざまなライププランを考えることも可能です。これからのライフプランや人生の資金計画づくりをエフアンドエス・エキスパートは応援します。
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