所得税を取り戻そう! ~ 確定申告のススメ ~
2024/02/02|家計管理
今年も確定申告の時期になりました。2024年は2月16日に受付がスタートし、3月15日に申告書提出・納税の期限を迎えます。確定申告は自営業者だけでなく、会社員や公務員などの給与所得者にも関係があり、確定申告により所得税が還付され、翌年に支払う住民税が減額されるケースもあります。
申告納税制度
本来の所得税は申告納税制度といい、自分で納税額を計算するため所得税に関する知識が必要です。過去には申告書を手書きしていましたが、現在ではe-Tax(国税電子申告・納税システム)により、パソコンやスマホで質問に答えるように入力するだけで簡単に確定申告書が作成できます。納税の仕方はいくつかあり、口座から引き去る振替納税やクレジットカードによる支払いも可能です。
所得税の還付を受ける場合は、確定申告書を提出した後に、指定の口座に還付金が振り込まれます。
源泉徴収と年末調整
給与所得者は、勤務先があらかじめ想定される所得税額を給与から差し引き、私たちの代わりに納税してくれます。これを源泉徴収制度といいます。ただし、所得税は一年間の収入から収入に応じた給与所得控除や、それぞれの状況に応じた所得控除を差し引いた課税給与所得に税率を掛けて算出する(図1)ため、一年間の収入金額が確定しないと所得税額も確定しません。
そこで、あらかじめ源泉徴収した金額から、年末に確定した所得税額を引いて余った分を払い戻します。これが年末調整です(図2)。
確定申告でしか還付を受けられないもの(※1)
給与所得者は基本的には確定申告が不要ですが、確定申告をしなければ還付を受けられないものもあります。
(1)年末調整で控除できない所得控除
(2)複数の勤務先で源泉徴収された所得税の申告
(3)ふるさと納税
などです。
(1) 所得控除(医療費控除)
全部で15項目ある所得控除のうち、雑損控除、寄付金控除、医療費控除の3つは年末調整できないため、該当する方は確定申告が必要です。本コラムでは該当する方の多い医療費控除について解説します。
医療費控除
本人または本人と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合、10万円(※2)を超えた金額が医療費控除の対象です(図3)。ただし、保険や共済で給付された金額は医療費から除かれます。
対象となる医療費は、病院などに支払った医療費や療養のために支出した交通費が該当(※3)します。医療費とは医師または歯科医師による「診療または治療」の費用であり、「予防」と「美容」は含まれません。いくら病院に支払ったとはいえ、人間ドックの費用は「予防」、シミの除去や脱毛は「美容」となり医療費控除の対象外です。
健康保険の適用外でも医療費控除の対象になるものもあります。たとえば不妊治療は2022年4月以降に大部分が健康保険の適用になりましたが、自費診療のままや先進医療に位置付けられたものも「治療」であればすべて医療費控除の対象になります。他にはインプラントやレーシックも健康保険の適用外ですが、治療であるため医療費控除の対象です。人間ドックは「予防」ではありますが、検査の結果として病気が見つかり治療を開始した場合は、人間ドックも「診療」となり医療費控除の対象となります。
(2) 2ヶ所以上の給与収入
パート収入など2ヶ所以上で給与収入のある方は年末調整をしていないケースもあります。しかし一定の収入になると、それぞれの勤務先で所得税が源泉徴収されるため、本来は支払う必要のない所得税を支払ってしまっているかもしれません。
この場合も確定申告により、源泉徴収された所得税が還付されるかもしれません。
(3) ふるさと納税
ふるさと納税は寄付金控除を拡大したものであるため年末調整で控除できませんが、ワンストップ特例を利用すると確定申告が不要になります。ただし、ワンストップ特例を利用した年の所得税について医療費控除などの確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になってしまい、ふるさと納税についても確定申告をしないと、ふるさと納税が本当の意味で寄付になってしまうため注意が必要です。
まとめ
給与所得者にとって普段は馴染みのない確定申告ですが、実はメリットがたくさんあります。今回は所得税のみ解説しましたが、所得控除は所得税だけでなく住民税も減額されるため大きな効果があります。
実際の手続きもe-Taxの利用により、慣れてしまうとアッという間にできてしまいますから、苦手意識を持たずに取り組んでみてください。
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※1 住宅ローン減税の初年度も年末調整できませんが本コラムでは触れません
※2 その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等×5%
※3 詳しくは国税庁のHPでご確認ください
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