子育て問題を考える…
2023/03/18|ライフプラン
今日は名古屋で会議があり、帰りの新幹線で書いています。
岸田文雄首相は3月17日の記者会見で、出生率反転に向け育休改革を表明する中で、育児休業給付について「完全に休業した場合に給付が出るが、希望する場合に時短勤務時にも給付が行われるよう見直す。また、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に引き上げる」と述べ、テレビでも大々的に報道されていました。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者(一般的には会社員、公務員、団体職員)の方が原則1歳未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」の支給を受けることができる制度です。詳しくは厚生労働省のホームページにパンフレットが掲載されています(こちら)が、非常に分かりにくいのが特徴です(笑)
ひと言でいえば、会社員、公務員、団体職員は、生まれた子どもが1歳(原則)になるまでの間に、子育てを理由に仕事を休んでも一定の要件を満たせば「育児休業給付金」がもらえますよ…ということです。
育児休業給付金はいくらもらえる?
育児休業給付金は1ヶ月ごとに計算します。
休業開始6ヶ月以内:支給額=休業開始時賃金日額✕支給日数(30日)✕0.67
休業開始6ヶ月以降:支給額=休業開始時賃金日額✕支給日数(30日)✕0.5
つまり、育児休業を開始してから6ヶ月までは月給の2/3が、6ヶ月以降は月給の1/2が支給される制度です。
ということは、育児休業給付金があったとしても、結局は仕事を休んだら収入が減ってしまい子育て世帯の負担が大きくなるので、岸田首相は「収入減らないように、給付率を10割に引き上げますよ!だから安心して子ども産んでください」ということかもしれません。
少子化の原因は子育てによる収入減が本当の問題か?
育児休業給付による給付率を手取り10割に引き上げたら出生率は上がるのか?といえば、そんな簡単な話ではありません。もちろん給付率が上がることは良いことですが、実際に0歳や2~3歳の子どもを育てながら働くご夫婦に話を聞いてみると、他にも問題はたくさんあると言い、いくつか具体的な事例を挙げてくださいました。
- 子どもが具合が悪くても簡単に仕事を休めない
- 保育所に預けている子どもの具合がちょっとでも悪いとすぐに「迎えに来てください」と連絡がある
- 具合の悪い子どもの世話(子どもを病院に連れていく)が妻だけの負担となる(夫は「オレは仕事休めない」と拒否)
- 家事は半分ずつと決めていても、食事を作るのがとにかく大変で、正直どうすれば半分ずつなのかわからない(泣)
ということで、制度の問題ではなく夫婦の問題も含まれます(笑)とおっしゃっていましたが、子育てに関する問題は、収入が減らないようにするという経済的な制度構築だけでなく働く環境そのものの整備も必要です。
育児休業取得率
岸田首相は、時短勤務も育休給付の対象とするなど、男性の育休取得率目標を「2025年度に50%、2030年度に85%」に引き上げるとも言っていました。個人的には育児休業取得率を上げることが最優先だと思います。結局は育児休業給付金の制度が整ったとしても、そもそも育児休業が取得できなければ意味がありません。
また、育児休業給付金は原則子どもが1歳になるまでしか給付されませんから、その後は子どもの具合が悪ければ有給休暇を利用して仕事を休むしかありません。しかし現状の働く環境の中では子育てを理由に仕事を休めないことが多いようで、労働環境として大きな問題だと思います。
特に男性が「子どもを病院に連れていくので休みます」といえば「奥さんは何やってんだ?」とか「そんなことは奥さんに任せてお前は会社に来い」とか、ひどい場合には「そんなことはお前がやることじゃないだろう?」などと言われることもあるそうです。いまどきそんなことを言う人がいるのかと思いますが…もし本当だとすると、法律の問題ではなく社会全体や企業、あるいは国民の民度の問題にもなってきそうです。
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