エフアンドエス・エキスパート

055-979-8415

受付時間 9:00 ~ 19:00

いよいよ上がるか!?【住宅ローン:変動金利】短期プライムレートを上げた銀行

いよいよ上がるか!?【住宅ローン:変動金利】短期プライムレートを上げた銀行

2024年4月17日の日経電子版に【住信SBI、短プラ上げ 変動型住宅ローン金利に上昇圧力】という見出しを見つけました。最近、日銀がマイナス金利の解除などをしましたが、日銀が直接に短期プライムレートを決めているのではありません。では短期プライムレートとは?それが住宅ローンにどう影響するのか?詳しく解説します。

短期プライムレートとは

短期プライムレートとは、銀行が優良企業に対して1年未満の短期間融資に適用する最優遇貸出金利のことで、1989年からは各金融機関が銀行等の資金調達の場である短期金融市場(インターバンク市場)からの資金調達コストに、銀行等の各種コストなどを上乗せして決定しており、新短期プライムレート(新短プラ)と呼ばれています。従ってすべての金融機関が同一の短期プライムレートを設定しているのではなく、金融機関独自に決めている金利ですが、概ね全国的には都市銀行のレートが一つの基準となり、また各都道府県では有力地銀のレートが一つの基準となっているようです。

また、短期金融市場(インターバンク市場)が動けば短期プライムレートも動くため、短期プライムレートを知るためには短期金融市場(インターバンク市場)の金利も知っておく必要があります。

短期金融市場(インターバンク市場)と無担保コールレート翌日物

銀行間による1年以内の短期資金のやりとりをする市場の総称です。中でも銀行等の金融機関同士で短期の資金の貸借が行われる市場をコール市場といい、お金の貸し借りに担保を必要としない「無担保コール」という取引があります。

コール市場において取引される、無担保で翌日には返済する超短期の資金のやり取りは、日本の短期金融市場の代表的な取引の一つで、銀行等の金融機関は手元資金の過不足を調整する貸借の場として「無担保コール市場」をメインに利用しており、日々、余剰分があれば貸し出し、また不足分があれば借り入れるといった取引を機動的に行っています。

その無担保コールによる資金の貸し借りにおける金利を無担保コールレート翌日物(または無担保コールオーバーナイト物や無担保コールO/N物)いいます。

※以前のコラム<【住宅ローン】どう考えても変動金利は上がる!?>でも詳しく解説しています

日銀による補完貸付制度

日本銀行が予め定めた条件(貸付期間を1営業日とする等)に基づき、貸付先からの利用申込みを受けて、担保の範囲内で受動的に実行する貸付制度であり、2001年(平成13年)2月に導入されました。貸付先は、銀行、証券会社といった金融機関のうち、信用力が十分であると日銀が認めた先です。

何らかの理由により短期市場金利(無担保コールレート翌日物)が補完貸付制度の適用金利である基準貸付利率を超えて上昇した場合、銀行等はいつでもこれを利用できることが予め明確になっています。このため結果的に基準貸付利率が短期市場金利の上限を画する役割を担っています。

そして、この基準貸付利率を決めるのが日銀金融政策決定会合です。

変動金利が上がる仕組み

  1. 日銀が政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標=基準貸付利率)を決定する
  2. 無担保コール翌日物レートが動く
  3. 短期プライムレートも動く
  4. 変動金利の基準金利が動く

変動金利の住宅ローン金利は一般的に短期プライムレートに連動(※連動しない商品もあります)します。

短期プライムレートに1%プラスした金利が銀行の発表する変動金利の基準金利となりますが、そこから銀行独自の金利引き下げ(値引き)があります。2024年4月の短期プライムレートは1.475%(主要銀行の短期プライムレートは2009年1月以降はずっと1.475%)で、そこに+1%した2.475%が変動金利の基準金利となり、たとえば金利引き下げを2.1%としている銀行では、変動金利の貸付金利は0.375%となります。

ちょっと特殊な住信SBIネット銀行

ほとんどの銀行が短期プライムレートを1.475%としており、変動金利の基準金利を2.475%としているのに対して、住信SBIネット銀行は短期プライムレートが1.675%と0.2%高かったのですが、さらにこれを0.1%引き上げ1.775%としました。つまり変動金利の基準金利は2.775%と他の銀行より0.3%高いのです。しかし、そこから金利を2.477%引き下げ0.298%となっています。

そうなると、一般的には0.298%しか注目されませんが、実は基準金利もしっかり見ておきたいのです。なぜなら2.477%の金利引き下げはずっと継続されるとは限らないからです。

いつまでもあると思うな親と優遇金利!?

これは変動金利の住宅ローンに限りませんが、「本来は〇%ですが、そこから金利を引き下げて〇%!さらに〇%引下げでなんと〇%」のような広告またはホームページの記載がありますが、本来の金利を「基準金利」、そこから銀行がさらに引下げてくれる金利を金利引下げまたは優遇金利と呼んでいます。

たとえば低金利の住宅ローンで話題のauじぶん銀行は、変動金利の基準金利が2.341%、そこから当初期間引下幅を-2.022%、さらにモバイル、でんき、ネット、TVなど所定の契約をすると最大0.15%引下げ、結果として0.169%になります。

このように書いてあると「基準金利が0.1%上がると0.169%が0.269%になるだけでしょ?」と思われる方も多いのですが、たしかにそうなると思います。そうなると思いますが、ならない場合もあるということです。

あくまでも基準金利が本来の金利であり、そこからの金利引下げなどは「銀行の好意で金利を下げてくれている」と考えてください。その証拠に規約にはこう書いてあるのです。

auじぶん銀行 住宅ローン規約より抜粋

銀行の判断によっては「いつでも金利引き下げがなくなり基準金利での返済になってしまう可能性もある」というもので、基準金利が低いということは実は大切な要素でもあります。

詳しくはこちらのコラム<【変動金利】チョ~厳しい!? 知らなきゃマズイ!? 4つのルール>またはYouTubeチャンネル住宅と家計のFP市川貴博「そこまで言うか〜!?」【住宅ローン 変動金利 チョ~厳しい!? 知らなきゃマズイ!? 4つのルール】でも詳しくお伝えしていますのでご覧ください。

これは住信SBIネット銀行も同様の規約になっています。

住信SBIネット銀行住宅ローン契約規定抜粋

まとめ

住宅ローンは「気軽に借りられる莫大な借金」ですが、規約や規定などはほとんど読まないでしょうし、説明を聞いてもわからないという方も多いと思います。エフアンドエス・エキスパートでは住宅ローンのセカンドオピニオンを実施しています。オンライン相談で住宅ローンの規約などの解説も行っています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

Contact